2017 年 63 巻 1 号 p. 41-53
日本における木製遮音壁の先進自治体である長野県において,同県で開発された2種類の木製遮音壁(カラマツ製,スギ製)とコンクリート製遮音壁を対象として,ライフサイクルにおける温室効果ガス(GHG)排出量を評価し,コンクリート製遮音壁を木製遮音壁に代替することによるGHG排出削減効果を明らかにした。その結果,評価期間30年における原材料調達から設置作業までのGHG排出量合計では,コンクリート製に比べ,スギ製は同等,カラマツ製はGHG排出量が少なくなることが明らかとなった。供用期間終了後の廃木材の燃料利用による重油代替および廃鉄,廃コンクリートによる材料代替を行えば,GHG排出削減に繋がり,また,コンクリート製を木製に代替することで遮音壁延長1mあたり,カラマツ製で91kg-CO2-eq,スギ製では62kg-CO2-eqのGHG排出削減効果が得られることが分かった。