木材学会誌
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一般論文
木炭・竹炭のミクロ孔構造
測定方法の確立と細孔制御の可能性
秋友 水季鈴木 里佳石丸 優飯田 生穂古田 裕三
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2006 年 52 巻 4 号 p. 228-234

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抄録

木炭・竹炭の細孔径分布について信頼性の高い測定方法を確立するため,氷水温度(273 K)での二酸化炭素の吸着実験を行った。得られた吸着等温線をHK法(Horvath-Kawazoe法)により解析し,細孔径分布を得た。本法は従来の方法よりも高温測定であるため,吸着平衡に要する時間が短縮され,再現性の高い細孔径分布が得られた。木炭・竹炭のミクロ細孔径分布のピークは0.5 nm付近に存在し,これらはグラファイト構造に類似の層状構造の乱れに起因する細孔と考えられた。この結果と,木炭・竹炭にはメソ孔は存在しないとの既往の研究結果から,これらのミクロ孔が,相対湿度域40~60%における炭の吸湿性の著しい増大に関与していることが明らかとなった。
さらに,木炭・竹炭のミクロ細孔構造制御の可能性について検討するため,ポリエチレングリコール(PEG)処理後に炭化した試料の細孔径分布を同様の方法で求めたところ,わずかながら細孔の拡大が認められた。

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© 2006 一般社団法人 日本木材学会
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