2011 年 20 巻 4 号 p. 339-344
温泉の無機質成分が沈着して形成される温泉華は、母液の性状を反映して組成が決まり、環境条件を反映して形態が決定する。今回、芒硝泉に生じた特異な枝珊瑚状形態を呈する温泉華を見たので、偏光顕微鏡、X線回折法により組成を検索した。その結果、微粒な不定形で不規則な方向をもつ石膏結晶を主体とすることが判明した。この特異な形態はフラクタル成長で説明できると考える。しかし、地下深部でなく地表面において形成される堆積物・沈積物には生物・微生物・バクテリアの関与が知られており、それらの関係は今後注目に値すると考えられるため、短いレビューを加えた。