肺癌
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症例
Carboplatin+paclitaxel+bevacizumab併用化学療法が奏効したAIDS合併肺多形癌の1例
千野 遥平野 聡市川 晶博竹田 雄一郎杉山 温人小林 信之
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 53 巻 2 号 p. 121-126

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抄録

背景.肺多形癌は化学療法・放射線療法に対する感受性が乏しく,予後不良とされている.症例.52歳男性,HIV感染症.右背部痛を主訴に来院した.2011年9月胸部X線写真にて右上肺野~中肺野に腫瘤影を指摘され,他院にて気管支鏡検査を施行するも診断に至らなかった.2012年1月に当科を受診した.胸部CTで右上葉に径8.6 cm大の腫瘤影を認め,CTガイド下生検を施行し,肺多形癌cT4N0M0 stage IIIAの診断となった.2月より抗HIV薬併用療法(HAART)を開始した後,carboplatin(CBDCA)+paclitaxel(PTX)+bevacizumab(Bev)療法を4コース施行した.終了時の縮小率は50.5%と,腫瘍の著明な縮小を認めた.その後,残存病変に対して放射線療法(60 Gy/30 Fr)を施行した.診断から12か月が経過しており,現在も外来通院中である.結語.AIDSを合併した原発性肺多形癌に対して,CBDCA+PTX+Bev併用化学療法は有効かつ安全な治療法である可能性が示唆された.

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© 2013 日本肺癌学会
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