岩石鉱物鉱床学会誌
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矢越礦山及び其四近の礦物及び岩石の研究 (IV)
バーケビカイトの熱的研究
待場 勇
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1941 年 25 巻 1 号 p. 13-20

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抄録

1 矢越産角閃石(結晶の大部分は褐色でバーケビカイトでり,結晶の周邊及び劈開に沿ふて緑色の部分がある)は眞空中で2時間加熱すると,600°C乃至650°C附近で著しい消光角Z'∧cの減少を示し,700°C以上に於いて赤褐色角閃石となる。この場合元の角閃石の褐色部及び緑色部は区別が出來なくなる。この赤褐色角閃石への變化の温度並びに赤褐色角閃石の加熱分解温度は窒素中加熱の場合よりも低温で行はれるものゝ様である。
2 本角閃石を一氣壓の水素中で2時間加熱した場合は,加熱温度の上昇と共に消光角Z'∧c少しづゝ減少し,赤褐色角閃石とはならずに分解する。この場合の分解温度は眞空中の場合とほゞ同じである磯分高い様である。
3 本角閃石を800°Cで眞空中ひは空氣中で加熱して作つた赤褐色角閃石は,光學的には緑色部,褐色部の区別が出来なくなるが,同温で2時間水素中で加熱すると,赤褐色角閃石は元の角閃石に歸るを傾向を示し,褐色部と緑色部とに分れるが,その消光角は元の角閃石のそれより小さく,むしろ本角閃石を始めから水素中で800°Cに加熱した場合の値に一致した。

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