2017 年 1 巻 論文ID: 2017-009
1回生を対象にした少人数制の化学の授業で反転型の授業を試みた.授業2週間前に演習問題を宿題として課した.提出された宿題を採点し返却した後,演習問題の解説を中心とした講義を行った.また,授業への参加と宿題に対して学生はルーブリックによる自己評価を行った.学生の学習状況の把握と同時に試験問題の妥当性評価の資料としてStudent-Problem(S-P)表分析も行った.学生の自主性に依存した一般的な予習と異なり,授業前に宿題として演習問題に取り組むことは,学生が自主的に予習を行う動機になると考えられた.授業前に演習を課す方法は,ビデオで講義を受けた後に授業で演習を行う,いわゆる反転授業とも異なる.このような従来の授業にはない本授業の特徴として,学生の個々の理解度にあわせた講義が行える点があげられた.ルーブリックやS-P表分析は,学生や試験問題の評価を通して本授業を補助することができた.