西日本皮膚科
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症例
全身性白皮症の3例
宮元 千寿川田 暁御藤 良裕大滝 倫子
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1987 年 49 巻 2 号 p. 260-265

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抄録

全身性白皮症の3例を報告した。患者は症例1(7ヵ月女児), 症例2(1才4ヵ月男児), 症例3(8才男児)でいずれも生下時は毛髪, 眉毛, 皮膚が白つぽかつたが, 初診までの経過で色素の出現の有無にかなり差があつた。背部皮膚にて290nmおよび300nm単色光に対するMEDを測定したところ, いずれの症例も正常値の1/2∼1/3以下と低下が著明であつた。皮膚のドーパ反応ならびに電顕的検索により, 症例1をチロジナーゼ活性陰性型, ほかの2例を陽性型と診断した。頭髪の毛球部チロジナーゼ活性をも検討し, その成績は皮膚のドーパ反応および電顕的所見と一致した。この検査は簡便で患者に与える負担の少ない点により最優先すべき有用なものと考えた。治療対策として, 皮膚にはPreSun 15 “Creamy”(Westwood)を用い, 眼には紫外線カットのプラスチックレンズ(Nikon SX-13: 日本光学)とさらに症例1には透過率10%のneutral density filterを重ねた眼鏡を試用させた。症例1はとくに羞明が著しかつたが, この眼鏡により屋外で眼を開くことが可能となつた。

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© 1987 日本皮膚科学会西部支部
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