西日本皮膚科
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症例
リンパ球幼若化試験陽性を示したニボルマブによる扁平苔癬型薬疹の 1 例
西原 春奈加藤 裕史中村 元樹森田 明理
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2020 年 82 巻 4 号 p. 267-270

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抄録

80 歳,男性。前頭部原発悪性黒色腫の多発皮膚転移に対してニボルマブの投与を開始したところ,投与開始より 2 カ月後,四肢に強い瘙痒と鱗屑を伴った紅色局面が出現した。前腕の紅色局面より皮膚生検を行い,皮膚病理組織学的所見より扁平苔癬と診断した。パッチテストは陰性であったが,薬剤リンパ球幼若化試験(Drug-induced Lymphocyte Stimulation Test:DLST)では Stimulation Index 226%と陽性所見を得た。ニボルマブによる扁平苔癬型薬疹(grade 1)と診断し,ステロイド外用と抗アレルギー薬内服で治療を行い,ニボルマブの投与は継続した。その後新規の肺転移が出現し,ニボルマブの投与を中止,ダブラフェニブ・トラメチニブを投与開始したところ皮疹は速やかに改善した。ニボルマブによる扁平苔癬型薬疹は過去にも報告があるが,DLST が施行された報告はない。我々は検証のためニボルマブ投与歴のない健常人 6 名に対してニボルマブを用いた DLST を施行し,6 名中 2 名に陽性所見を得た。ニボルマブによる DLST 検査の意義についての検討には,さらなる症例の蓄積が必要である。

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© 2020 日本皮膚科学会西部支部
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