日本歯周病学会会誌
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歯周炎に対するLS-007の有効性と有用性に関する臨床的ならびに細菌学的検討
上田 雅俊山岡 昭前田 勝正青野 正男鈴木 基之長谷川 紘司宮田 裕之鴨井 久一楠 公仁池田 克巳
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1988 年 30 巻 1 号 p. 223-235

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抄録

塩酸ミノサイクリン (MINO) を2% (力価) 含有する歯周炎局所治療剤 (LS-007) を歯周ポケットに1週間隔で4回連続して投与する群と, 2週間隔で3回連続して投与する群の二群に分け, 46名の歯周炎患者に投与し, その臨床的有効性, 安全性, 有用性ならびに細菌学的効果を検討した。
その結果, 両群ともに歯肉炎指数, ポケットの深さなどの臨床症状がLS-007投与後に有意な改善を示すのと同時に, 歯周ポケット内に生息するB. gingivalisをはじめとした歯周病原性細菌であるとされているものを効果的に消失せしめた。また, 安全性では軽度の不快感が1例に認められたのみであった。一方, それらの細菌に対するMINOおよび他の抗生物質のMICを測定した結果, MINOは他剤よりも強く幅広い抗菌性を有することを認めた。
以上の結果より, LS-007は歯周炎治療において臨床的ならびに細菌学的に有効かつ安全で有用性の高い製剤であることが確認できた。

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