日本歯周病学会会誌
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イヌ歯槽骨欠損部へのHydroxyapatiteおよびTricalcium phosphate移植に関する組織学的研究
菅谷 彰児玉 利朗古郷 辰二佐藤 肇三辺 正人田村 利之高井 豊喜小川 優司渡辺 是久堀 俊雄
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1987 年 29 巻 1 号 p. 179-197

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抄録

歯周外科治療に数多く使用されているHydroxyapatite顆粒 (HAP) と, Tricalcium phosphate顆粒 (TCP) を移植し, 歯周組織との経時的反応の差異を知る目的で実験を行なった。
実験には雑種成犬18頭を用い, 下顎骨臼歯部に形成した3壁性人工的骨欠損に移植手術を施行後, 3日から3ヵ月の期間について組織学的観察および計測を行なった。今回は特に骨組織の反応を中心に, 類骨や根面側の形態に注目して行なった。その結果HAPは骨組織中の核となって残存する一方, TCPはマクロファージの貪食により吸収され, 骨組織と置換することがわかった。骨再生量やOsteoidについても, 術後2週, および3週といった期間では, その量や形成パターンに差異が認められた。また根面側の影響については対照群で差異が認められたが, 両移植群には認められなかった。以上の結果より両移植材料共に骨移植材として使用し得る材料であるが歯周領域に応用する際には, この相違を考慮し, 症例により選択的に使用することが望ましいと考えられた。

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