2016 年 66 巻 2 号 p. 179-186
ノロウイルスやロタウイルスに代表される胃腸炎ウイルスは,ヒト-ヒト間の感染に加えて,水や食品,もしくはドアノブなどの環境表面を介して感染するため,感染制御のためには感染者との接触を避けるだけでなく,胃腸炎ウイルスに汚染された水,食品及び環境表面の適切な消毒が求められる.本稿の著者らは,これまでの研究において,胃腸炎ウイルスの消毒剤感受性や水環境中動態に影響を与えうる存在として,血液型決定抗原(Histo-blood group antigen: HBGA)陽性細菌に着目してきた.本稿では,HBGA陽性細菌に関わる研究事例をまとめ,胃腸炎ウイルスの生活環に与える影響について,これまでに報告されている内容を紹介する.