2014 年 64 巻 2 号 p. 191-202
レオウイルス科オルソレオウイルス属は,非エンベロープ性の正20面体構造を示し,10本の2本鎖RNA(dsRNA)ゲノムを有する.オルソレオウイルスは細胞融合能の有無によりFusogenic reovirusグループとNonfusogenic reovirusグループに大別される.Fusogenic reovirusグループにはトリレオウイルス,ヒヒレオウイルス,コウモリレオウイルス,爬虫類レオウイルスなどが含まれ,Nonfusogenic reovirusグループには哺乳類オルソレオウイルス(MRV)が含まれる.MRVは,分節型dsRNAウイルスの複製機構,病原性研究のモデルウイルスとして研究されている.さらに,MRVは選択的に癌細胞を破壊することから,腫瘍溶解性ウイルスとして癌治療に対する臨床研究も進められている.本総説では,MRVのウイルス学的特徴を中心に最新の知見も含め,オルソレオウイルスについて概説する.