2020 年 76 巻 2 号 p. I_691-I_696
津波による防波堤の倒壊要因のひとつとして,被覆ブロックの飛散後に発生するマウンドの変形とケーソンの滑動が挙げられることから,ブロックの安定性の確保は粘り強い防波堤の設計において重要である.津波に対するブロックの安定重量の算定には,定常流による抗力を外力とするイスバッシュ式が用いられることが多く,津波来襲時の強い非定常性や,引き波にともなうブロックの干出や急激な水位上昇による影響は十分に考慮されていない.本研究では断面水槽を用いた水理模型実験を実施し,防波堤マウンドの干出を含む異なる初期水深条件で段波が作用した際のブロック周辺での水理特性を分析した.その結果,津波来襲時の水深がブロックの安定性に大きく影響すること,またブロックには抗力と同等以上の揚圧力が作用していることなどが明らかとなった.