2011 年 67 巻 3 号 p. I_95-I_108
大深度円形立坑地中連続壁の設計方法は中浅深度における円形立坑に対するものを踏襲しており,その設計荷重は合理的かつ学術的な根拠が希薄なまま決定されているのが現状である.また,大深度円形立坑に設置した土圧計の計測結果から,軸対称側圧は設計値よりも小さいが,軸対称ではない側圧は設計値より大きいというケースが報告されている.一方,土圧計の値は,その設置時に設定する初期値の影響が大きく,地中連続壁に作用する真の側圧として評価することには疑問が残る.
そこで,本論文は,5つの大深度円形立坑の地中連続壁で計測された水平方向の断面力から連壁に作用する側圧を逆算して設計側圧と比較し,考察を加えたものである.