2021 年 77 巻 2 号 p. I_19-I_24
渇水は長時間の少雨継続をトリガーとして生起するが,時間的に変化する降水の浸透・貯留・流出過程の条件も重要な生起要因となる.データ同化手法の一つであるMCMC法を簡易な流出モデルに適用することにより,1994年の大渇水期を含む長期水文観測データにおける渇水生起時の水分移動の時間変化特性が検討された.その結果,地中での水分貯留高減少よりも,鉛直浸透増大と水平流出低下の傾向が渇水生起の潜在性を高め,これを指標化することで渇水生起の予兆を把握できることが明らかにされた.