土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第65巻
2014年9月に北海道で発生した線状降水帯における鉛直渦構造と降水強度の関係
大屋 祐太山田 朋人
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2020 年 76 巻 2 号 p. I_193-I_198

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抄録

 2014年9月に北海道の石狩・胆振地方で大雨特別警報が発表された.同事例は,降雨域の南西側で次々と新しい降雨セルが発生し,北東側へと伝播する典型的なバックビルディング型の特徴を示した.特に降雨が集中した時間に対し,3基のドップラーレーダを用いて風速場を算出し,降水強度との関係を示した.対流圏下層において南東から流入した暖湿空気塊が胆振地方で収束し,上空への強い上昇気流をもたらした.上空での上昇気流が鉛直渦構造へと形を変えた様子が風速場解析から明らかになり,降水強度が特に強い領域・時刻と一致することを示した.本事例における鉛直渦構造と降水強度の関係は,バックビルディング型の線状降水帯に関する物理過程を説明できる可能性を示唆した.

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