2020 年 76 巻 1 号 p. 323-328
本報告では,2019年(令和元年)台風第19号で一級河川利根川水系秋山川の堤防が2箇所で決壊するなどにより,多くの家屋浸水が発生した栃木県佐野市を対象として,佐野市役所に聞き取り調査を行い,豪雨時の被害の発生状況や避難情報の発令,避難の呼びかけ,住民の避難状況などを検証した.
佐野市役所では台風の接近を予想し,明るい時間帯に避難を完了させるよう早めに避難所を開設し,避難情報の発信などに取り組んでいた.しかし,住民の多くは強い雨が降り出した後,また,浸水が始まってから避難をしている.このため,迅速で安全な避難行動を促進するには,住民の防災リテラシーを高める取り組みが重要である.