2018 年 74 巻 4 号 p. I_331-I_336
水文統計学の目的は,一般的に,対象とする水文現象の極値データに適合する確率分布モデルを用いて,確率年評価を行い,計画規模に相当する確率水文量を決定することである.従来の水文統計学では,主に,極値水文データに対して良い適合度を示す確率分布モデルを求めることが重視されてきた.しかし,記録的豪雨の観測値は採用した確率分布モデルを大きく外れることがあり,このような豪雨を評価する手法は従来の水文統計学において確立されていない.本研究では,水文頻度解析に確率分布モデルの信頼区間を導入することで未曾有の豪雨を評価する理論的枠組を示すことを目的としている.