2022 年 78 巻 7 号 p. III_359-III_368
リン酸態リン(PO4-P)は生物利用性が高いため,湖沼での有害藻類ブルーム発生を防ぎ,水環境を保全するためにもPO4-P濃度のモニタリングは必要不可欠である.しかし,一般的なグラブサンプリングとPO4-P分析では,得られる濃度の代表性と分析方法の感度に課題がある.そこで本研究では,河川および湖沼において低濃度で存在するPO4-Pの時間平均濃度をパッシブサンプリングによって推定した.その結果,サクシュコトニ川ではグラブサンプリングで得た試料水中の溶存態リン濃度と近い時間平均PO4-P濃度が算出された.茨戸湖でのパッシブサンプリングでは通常は定量が困難な低濃度のPO4-Pに対し,その時間平均濃度の鉛直分布を得ることができた.