土木学会論文集G(環境)
Online ISSN : 2185-6648
ISSN-L : 2185-6648
環境工学研究論文集 第57巻
MBR汚泥中で汚泥ろ過性に影響を及ぼす成分の変動
内藤 りん角田 貴之羽深 昭木村 克輝
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2020 年 76 巻 7 号 p. III_165-III_171

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抄録

 本研究では実都市下水を処理するパイロットスケールMBRを300日以上連続運転し,MBR汚泥中で汚泥ろ過性に影響を及ぼす成分の季節変動を追跡した.MBR汚泥中のコロイド画分TOC,溶解性リポ多糖(LPS)濃度およびバイオポリマー濃度とMBR汚泥ろ過性との間に強い相関が認められた.MBR汚泥中で膜ファウリングに影響を及ぼすサイズ画分を検討した結果,0.45µm以上1.0µm以下および5.0µm以上11µm以下のコロイド成分が膜ファウリングの発生に強い影響を及ぼすことが示唆された.また,MBR汚泥中バイオポリマーを分離・精製し,従来の研究においてバイオポリマーのモデル物質として用いられてきたアルギン酸ナトリウムとの比較を行った.MBR汚泥中のバイオポリマーはアルギン酸ナトリウムよりも深刻な膜ファウリングを発生させ,従来の想定よりも高い膜ファウリングポテンシャルを有することが示唆された.

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© 2020 公益社団法人 土木学会
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