2014 年 70 巻 7 号 p. III_131-III_140
気候変動は水道の水量・水質に影響を与える可能性があるが,影響の受けやすさや受けにくさは各水道事業により異なる.本研究では各水道事業の気候変動による影響の受けにくさと,影響を受けた際の対応力を組み合わせた複合評価指標(CPI)を提案し,全国の水道事業体の適応力を共通指標で評価した.水道の取水,浄水,送配水の各々にCPIを開発し,評価結果を給水規模別や地域別に表し,日本地図に表示した.その結果,適応力は水道事業体の規模や地域により大きな違いがあり,特に小規模な水道事業体は適応力のばらつきが大きいことが明らかになった.さらに,CPIに水道事業の財政力や管路老朽化に関する指標を加えた水道経営指標群を用いて水道事業の気候変動適応力を総合的に評価する方法を提案し,適応策立案の支援ツールとして活用できることを示した.