2010 年 66 巻 3 号 p. 550-563
水道事業から排出される浄水汚泥を道路の路盤・路床材料として有効利用することが期待される一方で,利用した後の耐久性を定量的に評価し,長期安全性を言及することの必要性が高まっている.本研究では,浄水汚泥に含まれる凝集剤が粒子間の結合を担うことに着目し,乾湿繰返しにより凝集剤成分Alを段階的に溶出させた浄水汚泥の圧縮性および透水性を調査した.乾湿繰返し時の溶出量は,連続バッチ試験の結果を用いて,道路路床における長期溶出挙動に置き換えて評価した.実験結果より,Al溶出量が0.4mg/kg以下の範囲で圧縮性と透水性に及ぼす凝集剤成分Al溶出の影響は極めて小さく,また,そのときの乾湿繰返し操作は日降水量4.0mmを仮定したときに約3.16年間の時間経過に相当することを推測した.