2009 年 65 巻 3 号 p. 758-775
既設構造物の適切な信頼性評価を行うには劣化のメカニズムに関する知見をできる限り取り込むことに加え,各サイトにおけるなんらかの点検,検査データを有効に反映させることが重要である.そこで,現場位置で得られる観測情報から劣化予測に関わるパラメータの確率分布を更新し,それに基づき構造物の限界状態を超過する確率を算定する方法について論じた.Sequential Monte Carlo Simulation(以下SMCSと記述)に基づく更新のための定式化を示し,線形の簡単なモデルを用いてSMCSによる計算結果と理論解が一致することを確認した後,RC構造物の塩害劣化予測モデルのパラメタ更新,さらに3種類の限界状態超過確率の更新例を示した.