日本臨床麻酔学会誌
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本邦における1990年以降の悪性高熱症死亡例の検討
前原 康宏向田 圭子河本 昌志弓削 孟文
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キーワード: 悪性高熱症, 死亡率
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2000 年 20 巻 6 号 p. 385-390

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抄録

本邦における1990年以降の悪性高熱症(MH)により死亡した症例を,レトロスペクティブに検討した.収集できた150例中,死亡症例は18例(男女比は15対3),死亡率は12.0%で,この数字は欧米諸国よりやや高かった.手術科別では,脳神経外科手術が死亡症例の半数と最多であった.全体の約3分の1の症例が,MHの早期発見に有用な呼気終末二酸化炭素濃度(ETCO2)と体温の連続測定がなされていた.死亡例の55%は麻酔導入後およそ12時間以内に死亡していた.Clinical Grading Scaleを用いてランク分けすると,全例ランク4以上で,11例はランク6に分類された.わが国でのMHに対する啓蒙・教育と,MHに対処できる麻酔科専門医の増加が必要である.

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