日本補綴歯科学会誌
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原著論文
軟質リライン材の違いによる床下疑似粘膜下の圧力動態の変化に関する研究
山本 史朗木本 統佐伯 啓行宗 邦雄篠宮 摩弥子小林 喜平
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2009 年 1 巻 3 号 p. 277-283

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抄録

目的:本研究の目的は,異なる軟質リライン材による床下疑似粘膜下に生じる圧力動態の違いを明らかにすることである.
方法:直径6mmの圧力センサを厚さ1.5mmのシリコーン製疑似粘膜で被覆した後,擬似粘膜上に試験体をのせ衝撃試験を行った.試験体は直径6mm厚さ2mmの床用レジンを2mmの軟質リライン材でリラインし作製した.軟質リライン材には,アクリル系軟質リライン材(PSR),2種類のシリコーン系軟質リライン材(SLT, SLMS)を使用し,コントロールは,厚さ4mmの加熱重合型床用レジンのみで作成した.圧力動態を評価するパラメータとして,圧力センサへの入力信号の最大値を表す最大圧力,それに要する時間を表す最大圧力到達時間,そして最大圧力を最大圧力到達時間で除した圧力伝導速度を設定した. MANOVA,ANOVAおよびBonferroni法を用い,有意水準は0.05以下で統計分析を行った.
結果:最大圧力はコントロール,PSR>SLT>SLMS;最大圧力到達時間はSLTおよびSLMS>コントロールおよびPSR;そして圧力伝導速度はコントロール,PSR>SLT,SLMSの大小関係にあった.
結論:in vitroにおける衝撃荷重時,シリコーン系軟質リライン材はアクリル系軟質リライン材と比較して優れた緩圧効果,最大圧力到達時間および圧力伝導速度の遅延効果の3つの圧力動態特性を示した.

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© 2009 社団法人日本補綴歯科学会
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