2002 年 50 巻 5 号 p. 715-720
消化管に好酸球の浸潤を認める好酸球性胃腸炎は, 消化管壁への好酸球の主たる浸潤部位により病態が異なると考えられる。今回, われわれは好酸球性胃腸炎の4例を経験したが, 症例1と症例2は著明な腹水が主症状であり, 病変の主体は消化管の漿膜側と考えられた。症例3は腹痛と嘔吐が主症状であり, 腹部超音波検査およびCT検査で十二指腸壁の肥厚を認めることより病変の主体は筋肉層と考えられた。症例4は腹痛が主症状であり胃に好酸球の浸潤を伴う著明な発赤とびらんが認められたが, 腹部CT検査では明らかな腸管の壁肥厚はみられず, 主病変は粘膜層と考えられた.
本疾患の病因は不明であるがアレルギー機序の関与が推測され, 4症例中3例に気管支喘息またはアレルギー性鼻炎の合併がみられ, ステロイドを使用した3例では速やかな症状の消失をみた。