日本臨床免疫学会会誌
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一般演題(ポスター)
P2-54 肝サルコイドーシスを合併したSAPHO症候群の一例
室崎 貴勝島 菜月大野 和寿釜田 康行長嶋 孝夫岩本 雅弘簑田 清次
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2016 年 39 巻 4 号 p. 430b

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抄録

  【症例】43歳,女性.【主訴】関節痛,皮疹,飛蚊症【現病歴】10年前に掌蹠膿疱症と診断.時折前胸部痛を自覚していた.2年前に左胸鎖関節の疼痛を認め,膝と足関節の関節炎を伴うようになり,かかりつけの整形外科でプレドニゾロン(PSL)10mg/日で加療.6ヶ月前に肝胆道系酵素の増多を認め,NASHと診断されPSLを1 mgまで漸減.霧視と飛蚊症を認め,かかりつけの眼科で肉芽種性ぶどう膜炎と診断.関節痛の増悪もあり当科に紹介となった.肝臓腫大,鼻唇溝および後頸部に5 mm大の紅色の鱗屑を伴う結節,PIP関節の関節炎を認めた.AST 67U/L,ALT 66U/L,ALP 536U/L,γGT 446U/L,ACE 85.3 mU/ml,sIL2R 4,110 U/ml,CTおよびMRIで両側肺門リンパ節腫大と多発する腫瘤性変化を伴う肝腫大,皮膚生検で巨細胞を伴う類上皮肉芽腫を認め,肝病変を伴うサルコイドーシスと診断した.掌蹠膿疱症と胸骨,鎖骨の骨炎と骨化あり,SAPHO症候群も併存していると判断.肝サルコイドーシスに対しPSL 30mg/日に増量し,肝胆道系酵素と皮膚病変と関節炎の改善を認めた.【考察】10年来の関節症状はSAPHO症候群で,更に肝サルコイドーシスを合併したものと判断した.乾癬にサルコイドーシスを合併するのは1.5%と報告されているが,SAPHO症候群での合併は報告がない.両疾患にP.acnesが発症に関与している点を踏まえ病態を検討する.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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