日本臨床免疫学会会誌
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総説
CAPS:クライオパイリン関連周期熱症候群
齋藤 潤
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2011 年 34 巻 5 号 p. 369-377

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抄録

  クライオパイリン関連周期熱症候群(CAPS: Cryopyrin-associated periodic syndrome)は自己炎症性症候群の一つで,NLRP3のヘテロ変異により発症する.CAPSは類似の表現型を取る3つの症候群,すなわち家族性寒冷自己炎症症候群(FCAS),Muckle-Wells症候群およびCINCA症候群の総称である.これらのうち,FCASが最軽症,CINCAが最重症の表現型を取る.共通の表現型は自発的もしくは寒冷誘発性の蕁麻疹様発疹と発熱である.重症型では,難聴,髄膜炎,関節拘縮,二次性アミロイドーシスなどを来す.NLRP3の機能獲得変異は強力な炎症性サイトカインであるIL-1βの過剰産生を誘導し,これにより自己炎症がもたらされる.最近の抗IL-1薬の進歩により,CAPSの治療は劇的に改善した.現在3種類の抗IL-1薬が開発されているが,そのいずれもがCAPSに著効を示す.引き続き長期の観察が必要であるが,これらの薬剤の登場によりCAPSの診療は新しい時代を迎えている.

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© 2011 日本臨床免疫学会
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