日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
核周囲型抗好中球細胞質抗体(p-ANCA)陽性の壊死性糸球体腎炎を合併した全身性強皮症の1例
原島 伸一吉澤 滋堀内 孝彦中島 衡仁保 喜之草場 公宏林田 功篠崎 倫哉片渕 律子平方 秀樹
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 22 巻 2 号 p. 86-92

詳細
抄録

症例は,50歳,女性. 1977年発症の全身性強皮症(SSc)で, 1995年7月, SScが再燃.プレドニゾロン(PSL) 20mg/日でコントロールは良好であったが,急速な腎機能の悪化が認められ,核周囲型抗好中球細胞質抗体(p-ANCA) 504EU/mlと高値のため当科に入院.腎生検にて, 90%の糸球体に半月体の形成が認められ,壊死性糸球体腎炎(necrotizing GN)と診断された.蛍光染色では少量のIgG, C3の沈着を認めたが,半月体形成性糸球体腎炎(crescentic glomerulonephritis; CrGN)のうちではpauci-immune型に分類されると考えられた.近年正常血圧の腎クリーゼを呈するSSc症例では, p-ANCA陽性のCrGNを認め新しい型の強皮症腎が示唆されている.一方, microscopic PNでは50~80%の症例にp-ANCAが認められ,組織学的にはnecrotizing GNの像をとるため, p-ANCA陽性のCrGNを合併したSScは, microscopic PNとのoverlap syndromeと考えることもできる. SScに合併したp-ANCA陽性CrGNは,強皮症腎の-亜型として存在するのか, microscopic PNとのoverlap syndromeと考えるべきか興味ある症例と考え報告する.

著者関連情報
© 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top