日本臨床免疫学会会誌
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本態性結晶性クリオグロブリン血症の1例
浄土 智中林 透竹田 剛小椋 庸隆渥美 達也天崎 吉晴市川 健司堤 明人大西 勝憲藤咲 淳小林 清一小池 隆夫
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1994 年 17 巻 5 号 p. 577-584

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抄録

症例は, 61歳男性.昭和60年11月,関節痛,紫斑,視力障害が出現し,当科第1回目の入院となった.患者血清は, 4°C静置で白色沈降物を形成し,この沈降物は顕微鏡下に結晶構造を呈していた.患者血清のアセテート膜電気泳動では, γ位にM-peakを認め,免疫電気泳動でmonoclonal IgG λ typeであることが明らかになった.さらに,種々の検索により,沈降物はこのM-peakより形成されていると思われた.基礎疾患を認めないため,本症例を本態性結晶性クリオグロブリン血症と診断し,血漿交換療法後,ステロイド治療を行ったところ臨床所見は改善し退院した.本例は,ステロイド剤の減量に伴い,その後2回にわたり再燃しており,それぞれ血漿交換療法,大量ステロイドおよび免疫抑制剤の投与で寛解した.

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