2007 年 96 巻 1 号 p. 150-152
脳腱黄色腫(cerebrotendinous xanthomatosis, CTX)はステロール27位水酸化酵素の障害による脂質代謝異常を呈す,常染色体劣性遺伝の稀な疾患である.今回,我々はCTXの経過中に微小変化型ネフローゼ症候群を合併した症例を経験した.プレドニゾロンの投与のみでは不完全寛解I型までしか改善せず,プレドニゾロンの漸減に伴い再燃したが,LDLアフェレーシスの併用で血清コレスタノール値が低下し完全寛解となった.本例では脂質代謝異常とネフローゼ症候群の発症機序に何らかの関連が疑われた.