2000 年 89 巻 4 号 p. 757-759
症例は22歳男性.全身の浮腫と胸水,腹水貯留を呈し来院.低アルブミン血症(1.8g/dl)を認めたが,尿蛋白は陰性で蛋白漏出性胃腸症が疑われた. α1アンチトリプシン腸管クリアランスの増加と99mTc-HSAシンチで腸管への蛋白漏出を認めた.胃内視鏡検査で胃全体にタコイボ様隆起が密在するびらん性胃炎を認め, Helicobacter pylori (Hp)感染が確認された.除菌により胃炎と低蛋白血症の速やかな改善が得られ,急性胃粘膜病変と蛋白漏出へのHp感染の関与が強く示唆された.