1993 年 82 巻 5 号 p. 675-678
Behcet病の特殊型としての腸管Behcet病の症状は病変の発生部位,重症度によってさまざまであるが, Behcet病の4主症状がすべて発現することはまれである.本症にみられる消化管病変は口腔から肛門にいたるまでのすべての部位に発生するが,好発部位は回盲部である.初期には紅暈を伴うアフタ様潰瘍が多発する.進行すると潰瘍は境界鮮鋭な円形ないし卵円形になり,打ち抜き様(punched-out)と表現されるような下掘れ傾向を呈する.病理組織学的には特異的な炎症所見がみあたらないが,そのことが逆に本症の特徴でもある.