日本内科学会雑誌
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20才で発見されたムコ多糖体異常症(MPS症)の1例
三浦 志朗谷川 俊則鈴木 将夫根岸 清彦原 義人石井 淳大村 清
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1988 年 77 巻 1 号 p. 95-101

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抄録

症例は20才,男性で,低身長の精査目的で来院した. 6才頃より,四肢関節の軽度の運動障害を認め, 8才頃より身長発達の遅延を認めたが,日常生活に支障はなかった.今回入院時,身長140cm(-5.4SD),体重41kg.知能は正常で,角膜混濁,肝脾腫,軽度の心臓弁膜障害,四肢関節屈曲伸展障害をみとめた. X線像上,様々な骨変形を認め,ムコ多糖体異常症(MPS症)が疑われた.尿中酸性ムコ多糖体定性反応は陽性で,尿中ムコ多糖体分析ならびに2種のムコ多糖体分解酵素活性を測定し, MPSI-S型(Scheie症候群)と診断した. Scheie症候群は,頻度的にまれであるばかりでなく,他のMPS症と比較して,臨床症状が著明でなく,内科領域においても,低身長の重要鑑別疾患と考えられる.

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