日本内科学会雑誌
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頭蓋咽頭腫術後の高Na血症における血中抗利尿ホルモン(ADH)と心房性Na利尿ホルモン(ANP)の動態
太田 昌宏木村 時久太田 耕造飯竹 一広庄司 優井上 実佐藤 一俊羽二生 邦彦吉永 馨松井 邦昭
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1988 年 77 巻 8 号 p. 1262-1267

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抄録

今回我々は,頭蓋咽頭腫の術後に,渇感の低下,不完全型尿崩症,および汎下垂体機能低下が出現し,著明な高Na血症と高血糖を呈した症例を経験した.本例では, ADH分泌閾値は上昇し,コルチゾール低下のため,血漿浸透圧の低下に対して, ADH分泌の抑制と, ANP分泌の増加は認められなかった.本例に対し,クロフィブレートは, ADH分泌閾値を正常化し,コルチゾールは, ADH分泌閾値には影響を与えず,浸透圧の変化に対するADR分泌の感受性を改善し, ANPの分泌を増強した.また,コルチゾール低下の状態にある時,何らかの要因で糖尿病が発症した場合,非ケトン性高浸透圧性昏睡になり易いと考えられた.

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