日本内科学会雑誌
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肺出血を呈し急激な経過で死亡した全身性エリテマトーデスの1剖検例
浅野 嘉延長沢 浩平津田 泰夫長野 政則草場 公宏仁保 喜之三村 和郎
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1987 年 76 巻 3 号 p. 436-440

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抄録

症例は27才の女.昭和53年全身性エリテマトーデス(SLE)発症.昭和59年1月少量の血痰出現.昭和60年1月血痰増加および腎機能悪化し3月当科入院. prednisolone増量で血痰消失していたが, 4月26日大量の血痰と呼吸困難が突発し,低酸素血症著明で,胸部X線写真上びまん性浸潤影を認めた. methylprednisolone大量療法などにて-旦軽快するも,肺出血を再発し5月22日死亡.剖検でびまん性肺胞内出血とループス腎炎を認め,肺小動脈壁に免疫複合体沈着を証明した. SLEにおける急性肺胞内出血は非常にまれな病態であるが,その特異な臨床像と重篤性のため近年注目を集めている.本症例は肺への免疫複合体沈着を証明し得た本邦第1例で,発症における免疫学的機序の関与を示唆している.

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