日本内科学会雑誌
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経過中にSIADH (syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone)を呈した原発性肝癌む1例
福田 真作岡本 勝博高橋 修一相楽 衛男河田 耕一
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1987 年 76 巻 7 号 p. 1083-1086

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抄録

経過中にSIADHを呈した原発性肝癌の1例を報告し,その成立機序について考察した.症例は63才,男性.主訴は腰痛,左側胸部痛.胸部X線写真で腫瘍形成性肋骨転移あり.腹部超音波検査で原発性肝癌が疑われ当科へ入院した.入院時電解質は正常であった.腹部CT,血管造影検査で,原発性肝癌と診断された.肋骨,腰椎,肺に転移を認めた. 21病日肝癌の治療として, Cisplatin動注+肝動脈塞栓術を施行した. 75病日不穏状態,低Na血症,低浸透圧血症,および尿中Na排泄の持続を認めた.血漿ADHは増加していた. SIADH合併と考えられた.腫瘍中ADH活性は不明であるが,原発性肝癌にSIADHを合併する可能性を示唆する症例と考えられた.

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