日本内科学会雑誌
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鶏肝や牛肝の生食により発症したと考えられる内臓幼虫移行症の3例
伊藤 孝一郎酒井 健二岡嶋 泰一郎大内 和弘船越 顕博西村 純二井林 博辻 守康
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1986 年 75 巻 6 号 p. 759-766

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抄録

1952年Beaverらは本来ヒトを固有宿主としない幼線虫が感染し,成虫になれずに幼虫のまま生存し,諸臓器を移行し諸症状を発現する疾患を内臓幼虫移行症と呼ぶことを提唱した.感染は虫卵の経口摂取によるが,われわれは鶏肝や牛肝の生食によると考えられる3例を経験した.このような報告は世界で最初であり新しい感染経路による発症とみなされるので報告する.症例1) 57才男,鶏肝, 2) 46才男,鶏肝, 3) 39才男,牛肝と3例共肝の生食後発病した.いずれも好酸球とIgEの著増がみられ,血清のOuchterlony法とimmunoelectrophoresisにより, 1)と3)はイヌ回虫, 2)はネコ回虫によると考えられた.

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