日本内科学会雑誌
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著明な高Ca血症を呈し,原発性副甲状腺機能亢進症を思わせた細網内皮症の1例
横田 素一郎安日 晋浜島 正端大津留 信中山 巖
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1964 年 53 巻 1 号 p. 60-65

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抄録

X線学的に骨破壊像を認めず,原発性副甲状腺機能亢進症を思わせるような高Ca血症症状を呈した細網内皮症の剖検例について報告した.症例は48才の男子国鉄職員で,入院1年前より,再三腰を捻挫し, 2週間前より悪心,嘔吐,食欲不振,筋力低下,全身倦怠,神経質などの,いわゆる高Ca血症症状が現われた.血清Ca上昇,血清P正常,血清al-P-aseの上昇がみられ,全身骨のX線像では,骨の透過性がやゝ高まつている以外,著変はなかつた.臨床的に原発性副甲状腺機能亢進症を疑つたが,入院8日目に心衰弱で死亡した.剖検で,副甲状腺には異常がなぐ,病理診断は細網内皮症であつた.骨は肉眼的には異常はなかつたが,組織学的に骨髄内に著明な細網内皮細胞増殖がみられ,同時に骨皮質の吸収と新生の所見を認め,両側腎にも細網細胞増殖および高度な石灰沈着がみられた.

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