2022 年 71 巻 3 号 p. 133-144
三重鎖形成ペプチド核酸(PNA)は,現在までに開発された合成分子のなかで,RNA二重鎖へ塩基配列選択的に結合し,かつDNA二重鎖よりも強く結合できる唯一の分子である.その特性を上手く活用することができれば,一本鎖RNA構造(領域)を標的とした従来の核酸プローブとは質的に異なる,全く新しい分析技術の創製につながると期待できる.そのためには,明瞭な蛍光シグナル機能を付与するとともに,三重鎖核酸形成のボトルネックである「塩基配列の制限」と「酸性条件」を克服する必要がある.本稿では,著者らが開発を進めたtriplex-forming forced intercalation of thiazole orange(tFIT)プローブについて報告する.