分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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ヘッドスペースガスクロマトグラフィー-表面イオン化検出器による大気中の微量トリメチルアミンの定量
山本 政宏栗原 直子内山 一美保母 敏行
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2007 年 56 巻 7 号 p. 573-577

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抄録

トリメチルアミンは魚臭及びアンモニア臭に近い臭気を有し,臭気しきい値濃度は0.032 ppbvと極めて低濃度で臭気を感ずるため,極低濃度測定が必要とされる.大気中のトリメチルアミン分析法ではガスクロマトグラフィー/水素炎イオン化検出器(GC/FID)など選択性の悪い検出器を使用するため,共存する他の有機ガスとの分離定量が困難であった.そこで,選択的高感度な方法として,表面イオン化検出器(SID)を用いるヘッドスペースガスクロマトグラフィーによる分析法を検討した.大気中のトリメチルアミンをバブラー法でリン酸捕集液に捕集し,ヘッドスペースバイアルに50 wt% 水酸化カリウム水溶液と捕集液を加え,30℃で5分間気化させた後,ヘッドスペースガスをGC/SIDに注入した.本法を公衆トイレ室内大気中のトリメチルアミン分析に応用した結果,FID検出器では共存ガスの妨害で定量が困難であったが,本法では共存ガスの影響なく測定できた.大気を120 L捕集したときの検出限界は0.09 ppbvであった.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2007
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