1997 年 46 巻 5 号 p. 357-365
硫酸抱合胆汁酸(SBA)を固定化酵素反応器に導入し,次の酵素反応を行った.まず,SBAを胆汁酸硫酸スルファターゼにより脱硫酸化し,3β-ヒドロキシ胆汁酸を生成させる.この3β-ヒドロキシステロイドを3β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの触媒作用下でNAD+と反応させ,NAD+をNADHに変化させる.次に,電子伝達体としての1-MPMSから生成する1-MPMSH2により過酸化水素を生成させる.最後,この過酸化水素とPODの触媒作用下でルミノールを発光させる.この発光量によって硫酸抱合型胆汁酸を定量した.以上の原理に基づいて,本研究ではFIAを利用して,迅速,簡便,高感度な硫酸抱合型胆汁酸の定量法を確立できた.本法は分析速度が30検体/hであり,相対標準偏差が<2.2%であり,0.1~12μMの範囲で良い定量性が認められた.