分析化学
Print ISSN : 0525-1931
塩化トリオクチルメチルアンモニウムを保持したシリカゲルを捕集剤とする水中のモリブデン(VI)の定量
佐藤 公俊鈴木 基之Kusdiana HILMAN後藤 尚
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 45 巻 2 号 p. 175-179

詳細
抄録

水中の微量モリブデン(VI)の分離濃縮に塩化トリオクチルメチルアンモニウム(カプリコート)をシリカゲルに保持させて捕集剤を調製した.この捕集剤を用いモリブデン(VI)の捕集と溶離条件を調べ,黒鉛炉原子吸度分析で定量方法を検討した.モリブデン(VI)を含む溶液のpHを4付近に調整して,捕集剤100mgを加え10分間超音波槽で振動させることで99%の捕集率が得られた.捕集したモリブデン(VI)の溶離は0.03M過塩素酸溶液10mlで溶離できた。検量線はモリブデン(VI)0.05~3.0μgまで良好な直線性を示した.モリブデン(VI)1μg(n=7)の繰り返し精度は2.6%であった.本法による濃縮倍率は50倍であった.共存イオンの妨害はバナジウム(V),クロム(VI),鉄(II)は正の妨害をした.本法を水道水,河川水中のモリブデン(VI)の定量に適用して満足できる結果が得られた.

著者関連情報
© The Japan Society for Analytical Chemistry
前の記事 次の記事
feedback
Top