分析化学
Print ISSN : 0525-1931
硫化インジウム共沈分離/誘導結合プラズマ発光分析法による石灰岩中の微量元素の定量
山嵜 賢司辻 治雄茶山 健二玉利 祐三日下 譲
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1993 年 42 巻 5 号 p. 305-309

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抄録

ICP-AESを用いて,石灰岩中の微量元素群(Al, Bi, Cd, Co, Cr, Cu, Fe, La, Mn, P, Sb, Ti,V,Y及びZn)を定量する目的で,In2S3を担体とする共沈分離法により主成分であるCaと目的微量元素群とを分離する方法を開発した.共沈分離法で用いられることの多い,Fe,Zr及びInのうち,InはICP-AESによる定量の際分光干渉が少ないので,担体として用いられた例は多い.しかし,多元素同時分析という点では,In(OH)3による微量元素群の濃縮効果はFe,Zrなどの水酸化物に比し劣っている.本法では捕集沈殿をIn(OH)3からIn2S3に変化させることにより,In(OH)3法では回収率の低い元素群についても定量的に回収することが可能となった.更に本法を日本地質調査所 (GSJ)標準試料を主とする種々のたい積岩試料に適用したところ,良好な結果を得た.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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