1977 年 26 巻 2 号 p. 111-116
キサントゲン酸カリウム(プロピルー,ブチルー,アミルー,ペンジルー)をキレート剤とする溶媒抽出法を利用したマンガンの原子吸光分析を行った.
特に,ベンジルキサントゲン酸カリウムを用いた場合共存イオンの影響も小さく,感度,精度ともに優れておりピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウムをキレート剤として用いた場合と比較して,良い結果を得た.
又,マンガンイオンに対しては,その原子価(II,VII)に関係なく錯生成を行い,定量的にMIBK中に抽出された.本法による10回繰り返し定量値より算出した標準偏差,変動係数も小さく,人体組織(肺,肝,じん,すい)中のマンガンの定量に応用したところ,満足すべき結果を得た.