1983 年 91 巻 1053 号 p. 215-221
溶融法によって調製した微量 (0.004-0.177wt%) の水を含むLi2O-SiO2系ガラス粉末及び金属アルコキシド溶液の加水分解によって作ったリチウムケイ酸塩ゲル粉末の結晶化過程を示差熱分析, X線回折, 赤外分光法によって研究した. その結果, 水含有量が増すにつれて, ガラス転移温度及び核形成速度は低下し, 結晶成長速度は増加することを見いだした. また, 同一の酸化物組成でもガラスとゲルの結晶化過程は異なり, ガラスでは加熱の際に安定相のLi2Si2O5, ゲルでは準安定相のLi2SiO3が析出することが分った. いったん溶融してガラスにすると, 出発原料が炭酸塩又は酸化物結晶性粉末であるかゲルであるかに関係なく似た水含有量のガラスは似た結晶化挙動を示すことが確かめられた.