林業経済研究
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野外レクリエーションにおける利用者のリスク認識 : 大雪山国立公園のヒグマ生息域におけるハイキングを事例として(<特集>利用が集中する保護地域における持続可能な資源管理のあり方)
久保 雄広庄子 康柘植 隆宏
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2011 年 57 巻 3 号 p. 31-40

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抄録

本研究の目的は,リスクを伴う野外レクリエーションに関して,利用者のリスク認識をアンケート調査から把握することである。野外レクリエーションにはリスクが伴うため,利害関係者間でのリスクコミュニケーションの確立が不可欠である。そのためには,まず管理者が利用者のリスク認識を正確に把握する必要がある。アンケート調査は2009年9月にヒグマの生息する大雪山国立公園で実施した。利用者1,536名にアンケート票を配布し,郵送により970名から回答を得た。アンケート票の設問には,個人属性をたずねる設問と,ヒグマとの遭遇事故に対するリスク認識を聴取する15項目の設問が含まれている。主成分分析の結果,利用者のリスク認識について,「責任」「回避可能性」「深刻さ」「管理」の4つの評価軸が抽出された。さらにそこで得られた主成分得点に基づいて,回答者をグループ分けすると,4つのグループに分けることができた。各グループの間では,レクリエーションに関する経験,ヒグマとの遭遇に対する考え,管理に対する意向が有意に異なっていた。これらの結果は,利用者のリスク認識が一様ではないこと,そして利用者層に応じた対応の必要性を示唆している。

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© 2011 林業経済学会
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