日本土壌肥料学雑誌
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繊維状竹破砕物の表面施用の時期と中耕培土がダイズ品種フクユタカの窒素固定と生産に及ぼす効果
中川 由紀山川 武夫梶原 良徳
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2009 年 80 巻 2 号 p. 109-115

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抄録

竹粉の表面施用の時期と中耕培土がダイズの窒素固定と生産に及ぼす影響を明らかにすることを目的として,九州大学農学部附属農場(糟屋郡原町)で2005年と2006年にダイズ品種フクユタカを用いて圃場試験を行なった.竹粉として3〜4年齢のモウソウチクを繊維状に破砕して使用した.2005年は,無マルチ区,播種直後に竹粉を表面施用した初期マルチ区,中耕培土後に竹粉を表面施用した後期マルチ区の3処理区を設けた.2006年は,無マルチ区として豆化成の施肥レベルを3段階に設定したF0,F40,F80区とマルチ区として竹粉の表面施用と豆化成の施肥レベルを3段階に設定したM0,M40,M81区の計6処理区を設けた.2005年の結果は,中耕培土を行う栽培方法で竹粉を土壌に表面施用すると施用時期に関わらずやや減収する傾向を示した.播種後に竹粉を土壌表面に施用した初期マルチ区でやや減収となったのは,豆化成の施肥位置が窒素吸収に不利であったため栄養生長が抑制されたためと考えられる.後期マルチ区は,窒素固定率が無マルチより低く,収量をやや低下させた.後期マルチの手間を考えると,中耕培土を行う栽培方法では竹粉の表面施用は施用時期に関わらず適当ではない.2006年は中耕培土をしない無中耕無培土栽培で試験を行い,竹粉の表面施用により増収する結果を得た.発芽率がマルチ区で無マルチ区より約1割程度高かったことが大きな要因であった.無中耕無培土栽培下における竹粉の表面施用は,水不足が発芽率を抑制するような条件でも栄養成長の抑制が小さく,栄養生長期後半から開花期の生育を促進し,増収効果を示した.肥料を同量施肥したマルチ区と無マルチ区を比べると,マルチ区の方が窒素固定率は高く,無中耕無培土栽培での竹粉の表面施用は,窒素固定能(相対ウレイド率)を促進した.

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© 2009 一般社団法人日本土壌肥料学会
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