日本土壌肥料学雑誌
Online ISSN : 2424-0583
Print ISSN : 0029-0610
直播テンサイにおける全層施肥による初期生育改善とその要因解析
笛木 伸彦東田 修司中津 智史
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2007 年 78 巻 6 号 p. 559-564

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抄録

直播テンサイにおける全層施肥による初期生育の改善とその要因を明らかにすることを目的とし,全層施肥と作条施肥における初期生育量や土壌中のEC,アンモニウム態窒素および硝酸態窒素等の化学性の推移を詳細に比較した.作条施肥では,種子近傍の多肥に起因して株間土壌のアンモニウム態窒素濃度やECが全層施肥よりも高いため,濃度障害が生じ初期生育が抑制された.しかも,アンモニウム態窒素やECが高いために硝酸化成が遅れ,アンモニウム態窒素が高濃度のまま残存した.このことも濃度障害を助長する要因と考えられた.反対に全層施肥では,肥料を土壌全体に混和するため,株間土壌のアンモニウム態窒素濃度やECが作条施肥よりも低く,また硝酸化成も速やかでアンモニウム態窒素が残存しにくく,このことが濃度障害の回避を促し初期生育の改善につながることが推察された.

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© 2007 一般社団法人日本土壌肥料学会
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