1991 年 62 巻 3 号 p. 274-281
バレイショのsource-sinkの関係を、維管束の観察と各葉位葉で光合成された^<14>Cの挙動の追跡から解析した。1)維管束の形態的観察によると、主茎には太い維管束が5本存在し、開度は2/5であり、この開度に基づいて茎上の各器官を5系列に区分できる。一つの節には2節下と3節下から太い維管束が入り、その他に5節下からはいる細い維管束があった。2)ある節を含む系列をn系列とすると、その節に着生する葉の光合成産物はn, n+2, n+3系列に多く流れ、維管束の観察結果と一致した。ただし生育状態に応じて、異系列の中からでもそのときの生育の旺盛な部位に多くはいる場合もあった。3)光合成産物は、第10葉期には同化葉と、より上位の葉や分枝および根に、着蕾期には分枝、茎に、第2花房開花期には主として塊茎に分配された。したがって、イネなどにみられる葉位間の分業は塊茎肥大後はほとんど認めることができなかった。